どんなことでもそうだと思いますが、何かをするときは、自分が何をしようとしているのか、その結果欲しいものは何なのかを考えると思います。
当然カメラマンも考えています。
今日は、カメラマンが仕事をするときに考えていることをお話ししようと思います。
写真を撮る仕事をしている人は消費される前提で撮っている
「消費」という言葉を写真に使われているのを見たことがある人は少ないかもしれません。
でも、商業的に撮られる写真や、メディアに掲載される写真は消費されるために撮られています。
みなさんが普段思うことを考えてみて下さい。
「これなんだろう?」と思ってしまう写真が掲載されている記事を開いていませんか?
もしくは好きな芸能人の顔が出てる記事、ふと開きませんか?
スーパーの店内で美味しそうな調理例の写真が出ている料理、作ってみたくなりませんか?
家族が楽しそうに乗り込もうとしている映像がCMで流れるミニバン、見積もりとったことありませんか?
どれもこれも、そう見せたいと思いながら撮られている訳ですが、
その前提として「ここに乗せる写真はどうしたら見られるか?」と考えた結果、「こう見せよう!」ということになって撮影に入ります。
その「見られる」ということが「消費される」ということです。
「見られる」ために撮影技術と機材と名バイプレイヤーを総動員する
掲載する先が決まっているとして、そこで消費されるためにその商品の「売り」のポイントがわかり、
「見せ方」が決まったらそれを引き立てる絵柄を考えます。
その絵柄を作る上で必要な物はまず「光」です。商品にどんな光を与え、その時商品がどんな色になるのか。
その時カメラに付けるレンズはどのくらいで、その時の露出はどのくらいか。
その時周りにはどんなものがあって、その商品が使われる瞬間を描いているかを考えます。
私の場合、撮るものにもよりますが、初回の打ち合わせの時点でここまでイメージができていることがほとんどです。
というか、ここまでイメージできていれば、撮影後に必要な画像加工の内容も見積もりしています。
それに従って撮影プランとお見積もりをご提案し、必要な物の準備に入ります。
使っているカメラにつけるレンズもおおまかにその初回の打ち合わせで決まりますし、
脇役に小物が必要だったり、無地の背景ではなくて使用環境がイメージできる方がいいならそれにふさわしい撮影場所を探します。
撮影の脇役は小物だけではありません。商品をどのように置くか、そのための支持台をいちから作ることもあります。
それができるのも商品の見せ方と商品に当たる光がイメージできるからです。
意図が決まってない状態で撮る写真はすべて「趣味」
これが、クライアントから依頼を受け撮影する写真の場合は「商業写真」や「写真館の写真」であり、
クライアントがなく自分のイメージや企画(=クライアントは自分自身)からスタートする場合、その写真は「作品」と呼びます。
それらがない写真はすべて「趣味」、個人が楽しみの範疇で撮った写真です。
さて、ここでクイズです。
この記事のトップにある写真は私、コルプの吉田が撮った写真ですが、何を見せようとして撮ったでしょうか?
・・・。
わかりましたか?正解は左のクルマです。
反対側の歩道まで行ってないので正確には分からないのですが、
これは90年代販売されていた当時のメルセデス・ベンツEクラスの高性能版、500E(or E500)だったからです。
そのクルマが止まっている様を撮りたかったのですが、この時つけていたのは35mmの単焦点一本のみ、
撮るイメージをクルマが止まっている街の様子に切り替え、秋の低くなった日差しの中に歩行者が浮かび上がるのを待つと、
ほどなく日傘をさした女性が高いヒールのブーツで颯爽とフレームインしてくださいました。
そういう、私の「趣味」が盛りだくさんの写真だったというわけです。笑