「ファーストプライオリティー」
最近流行っている言葉らしい。
「最優先」くらい日本語で言えよ、という人もいるが、私はこの言葉の響きが好きだ。
プという軽やかな音、オという柔らかい音の間に、ラ行の歯切れの良い音が挟まってる。
耳の奥に響くような言葉。
そして聞くたびに、山本文緒さんの小説「ファーストプライオリティー」を連想するのだ。
みんな、生まれながらにそれぞれに役割やポジションはある。
母と父の子。
祖父母の孫。
上に兄、姉がいるかもしれない。
そして、歳を重ねるごとにその役割やポジションは増えていく。
自分が望もうとも望まないとしても。
私は二児の母で妻であり、
長島先生の講座の受講生でおむつなし育児アドバイザーであり、
児童文学を学ぶ人で英語教室のチューターであり、
元フィットネスクラブ従事者でやり投げてた人であり…
書き連ねていたらキリがなくなるだろう。
30年以上生きていたら、誰しもそうに違いない。
そんな中で、今自分が一番大事にしたい自分は何か。
今の私はなんと言っても「母である自分」だ。
他のものは休んだり辞めたりできるけど、こればっかりはそうもいかない。
母でいることは嬉しいし楽しいけれど、
母でい続けることって、時にしんどいし辛いし、決して楽しいだけじゃない。
周りからは「母でいる前に自分は自分」という声も聞こえてくるし、その通りだとも思うけど、
今の自分を構成している大部分を占めているのは、やはり「母である自分」なのだ。
では、それを最優先にしてどうなりたいのか。
この問いがずっと不明確だった。
それが今日の道祖土教養塾でクリアになった。
政(統治)=食・兵・信
これは家庭にもそのまま使える教えではないか。
家庭が円満になるためには、
1.しっかり栄養をつけよう
2.体力をつけよう
3.信頼関係を築こう
そして優先順位としては3・1・2の順、と私は受け取った。
中でも最も腑に落ちたのは、長島先生の翻訳・補足にあった
「教育目的が民の自立」ということ。
そう、子育ての最終目標って子どもが自立することだ。
親がすることって、自立するためのサポート。
そして親自身も、子どもやパートナーに依存することなく
自立していくことが大切ではないだろうか。
娘が成人するまであと12年。息子は16年。
その頃には私のファーストプライオリティーも変わっているのだろう。
子どもたちが自信を持って「いってきます」と飛び立てるように
日々の「おかえりなさい」で、あたたかく迎えたいと思う。
2023年4月8日
よしりん